◆◇◆◇◆東日流徒然短歌エッセイ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

37.そぼゆきて
    としゆくむすめ
     ははなみだ
      しきわれいけず
       ひとりみせでなく


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母方の埼玉にいる祖母が亡くなった
実家の岩手の母から電話で知った
60過ぎた母が娘のように向こうで泣いていた
貧乏な商売人である
青森にいる私も岩手にいる兄も式には出られなかった
全国にいる祖母の子どもは4人
孫は8人
みんな泣いただろう
戸塚の末っ子のおばさんの
なきじゃくった姿も思い浮かぶ
不肖の孫の私も
異国青森の自分の店で独り声を出して泣いた

私にとって祖母は誇りだった
奥州藤原氏の平泉町出身の祖母は
隣の一関市の祖父に嫁いできた
とても仲の良い夫婦だった
若い頃の祖父母は
自転車の後ろに祖母が乗って
いつも2人で買い物をしていた

小さい頃兄と私と母は祖父母の実家に
よく遊びに行き泊まった
いつも三ツ矢サイダーをごちそうになった
私が東京にいた頃祖父が亡くなり
祖母はまるっきり元気が無くなった
晩年は哀れに見えた
気品があり控えめな祖母の祖先は
奥州藤原氏の忠実なる武士の血も流れていたと
私は確信している
しかし皆親戚の晩年は哀れな気がしてしまう

私もいつか死ぬだろう
私は宗教は信じていないし
来世も信じていない
だが自然と祈ってしまう
祖母のDNAも祖先のDNAも
みんな孫の私に受け継がれている
天の父なる神は私の内なる心の中にいるとキリストが言った
DNAは娘や息子たちに受け継がれて行くだろう
死んでも私たちは永遠に生きるだろう
子孫が私たちの代わりに生きていく
子孫が祖先と共に生きていく
私には永遠の命とはそう思える
だから心の中でいつまでも祈りを捧げたい

2001年7月8日 作:安東秀衡


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 BY JOVANNI ANDO
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