*人間は誰もが童心をもっている。いくら年をとっても童心はノスタルジアとして私たちの心に生きています。
それを的確にとらえて大成功したのがディズニーランドです。
いってみればディズニーランドは全世界の夢を集約しているのではないでしょうか。
しかし、日本ではジャリ文化として片づけられてしまい、価値を認めてくれません。
最近は少しずつよくなってきてはいますけれども。もっともっと童心を人間の宝物として大切にすべきでしょう。
私が影絵に打ち込むのは、一つは童心を追求していきたいと考えるからです。
*芸術といわれる多くのものがそうであるように、影絵をやっていても神の存在を無視すると人を感動させるいい仕事はできません。
ですから私は特定の宗教には入っておりませんが、個人として神をもっています。
伝統を大事にする立場でもありますし、根源的な神の存在を感じてきたわけですよ。
*私は弥次郎兵衛を自分の芸術論としているんですが、この弥次郎兵衛の一方の重しを現実とすれば、もう一方の重しは虚構となる。
現実と虚構のバランスがとれていれば、弥次郎兵衛が倒れないように、人生もバランスのとれたものとなります。
虚構は神のつかさどる世界、現実は辛く、恐ろしく、思い通りにならない世界です。
そんな現実にいるからこそ人間は一輪の花の美しさに涙することもあるんです。
*日本には水墨画や版画というすばらしい芸術があります。影絵はこれらとあい通ずるものがると思うんですよ。
ですから水墨画や版画を基本とした影絵をつくって、日本に影絵の伝統を築いていきたいですね。
以上雑誌「エコノミックジャーナル」1978年11月15日号より抜粋
*私は藤城清治氏の影絵塾に通い、彼の影絵を研究し、そして後藤圭氏のかかし座の劇団に入り多くを学んだ。
特にとうたいりう氏の芸術論(詳しくは名著「影絵劇への招待」)には深く共鳴した。
私にとって影絵はライフワーク。これからも影絵芸術を探究していきたい。 ジョヴァンニ安東
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